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地方活性化の本質〜始まりは「誰かが本気で好きなもの」〜

  • 執筆者の写真: うらのりょうた
    うらのりょうた
  • 2025年10月17日
  • 読了時間: 7分

更新日:2025年11月13日


地方では「仕事がない」「面白くない」という声をよく聞きます。ロードサイドには全国チェーンが並び、どのまちも似たような風景。個性が見えにくくなり、若者が都市へ出ていく。そんな現実があります。


しかし、地方には確かな強みがあります。それは「人との距離」「自然との距離」「社会との距離」が近いこと。だからこそ、自分の行動がまちの未来を変えるスピードが速いです。


いくら制度や補助金があっても、東京からコンサルが入ってきても、

そこに「動かす力」「動かす人」がいなければ、まちに大きな変化は起きません。逆に、一人の熱量があれば、まちは連鎖的に変わっていきます。「誰かが本気で好きなもの」「誰かが本気で面白がること」が最初の火種になります。


各地で生まれるユニークな取り組み
  • 岩手県紫波町「オガールプロジェクト」

     雪国では空き地が雪捨て場となることが多くあります。紫波中央駅前の空き地は「日本一高い雪捨て場」と揶揄されていましたが、公民連携での再開発に成功。

  • 福井県鯖江市「メガネのリブランディング」

     1905年の農閑期副業に起源を持つ鯖江の眼鏡生産。デザインを核にブランド化、OEMから脱却し「メイドイン鯖江」を確立。新たな雇用も創出し、今では眼鏡をモチーフにしたお土産など観光資源にもなっています。

  • 徳島県上勝町「葉っぱビジネス」

     日本料理を彩る「つまもの」に特化したビジネス。かつて、料亭や料理人は自分たちで山や庭に取りに行くのが一般的でした。つまり、需要はあっても体系的に供給されていない隙間市場だったのです。上勝町では高齢者を中心に価値がないと思われた山の葉に目をつけ、知恵とITを駆使して商品化。生きがいにもなっています。

  • 徳島県神山町「サテライトオフィス」

     IT企業やクリエイター向けに空き家・空き施設を改装してオフィスを提供。都市企業のサテライトオフィスとして定着し、人材交流も盛んに。テレワークや二拠点生活の先駆けの一つとなりました。

  • 高知県馬路村「ごっくん馬路村」

    もともとユズの生産が盛んでしたが、儲かるビジネスではありませんでした。実は、ユズがメジャーになったのはここ30年くらいの話。かつては皮を香り付けや飾りとして使用する程度で果汁は使わず、都会では滅多に見ない存在でした。馬路村は発想を転換し、一次産業だけでなく、加工・販売まで一本化。「ごっくん馬路村」は特産品を磨き上げた好例となりました。また、ミツカンの「ゆずぽん」が同時期にヒットしたことも相まって、ユズは一気にメジャー化を果たします。

  • 大分県豊後高田市「昭和の町」

    国東半島(くにさきはんとう)でもっとも栄えた商店街は時代の流れとともに衰退し「犬と猫しか歩かない」とまで言われました。2001年から昭和時代をコンセプトにしたまちづくりに挑戦。昭和のまちなみの再現や昭和レトロな商品の販売、ボンネットバスの復活などにより、年間約40万人の観光客を集める人気スポットへとV字復活しました。

  • 鹿児島県鹿児島市「火山灰の地域資源化」

    桜島の火山灰は日常的に降り注ぐ迷惑な存在。その”ゴミ”を建材などの産業用途として、デザインアートの素材として、さらにはお土産にするなど逆転の発想で地域産業に昇華させました。

  • 鹿児島県三島村「移住で子牛1頭プレゼント」

    単なる定住支援ではなく、島の産業と直結した施策。ユニークな特典で移住者を惹きつけるだけではなく、メディア露出や話題性にも好影響を与えました。


定住人口ではなく“つながり”で広がる地方の未来

地方創生というと、どうしても「人口を増やす」という話になりがちです。移住者を増やす、定住促進、子育て支援…もちろんどれも大切です。でも、日本全体の人口が減少している中で、地方だけが人口を取り戻すことは現実的ではありません。結局のところ、それは「限られたパイの奪い合い」にしかならないです。


だからこそ、注目したいのが交流人口や関係人口という考え方です。定住ではなく、地域に関わる人をいかに増やすか。そこにヒントがあります。


【定住人口】その地域に「住民票がある」人。昔からの“人口”の定義で、住んでいる人=支える人。しかし全国的に減少中。

【交流人口】その地域を「訪れる」人。観光客、出張者、イベント参加者、スポーツ観戦なども含む。

【関係人口】住んではいないけれど、地域と継続的に関わる人。ふるさと納税で支援し続けている人や、リモートで地域プロジェクトに関わる人も関係人口にあたります。ここ数年注目されている概念。


例えば、テレワークやリモートワークの普及で、「働く場所」に縛られない生き方が広がりました。平日は東京、週末は長野で過ごす。そんな二拠点生活も珍しくありません。


最近では、オーバーツーリズムが社会問題として語られるようになりました。観光客が増えすぎて地元の生活に支障が出るのは問題です。でも、裏を返せば、「人が動く力」はどの地域にも眠っているということでもあります。頑張れば、どんなまちでも交流人口を増やすことができる。それを証明している事例でもあるのです。


つまり、

「どれだけ人を“定住”させるか」ではなく、「どれだけ多様な人が“関わり続けられるか”」が重要です。

国民1人1人の関わるまちが1つ増えれば人口は単純計算で2億人を超えます。


人口を取り戻す時代から、関係を育てる時代へ。

人の往来、情報の交換、オンラインでのつながり。そのひとつひとつが、まちの新しい血流になります。

SNSの普及によって発信できる機会は平等。地域の外にいる人が“ファン”として関わり、支え、発信してくれる。「関係の総量」が、これからの地方の“人口”のかたちです。

地方を動かすのは制度や補助金ではなく、人の熱量

ないものを探すのではなく、あるものを磨き込む。「外に出る」ではなく、「外とつながる」。

地方を動かすのは、制度でも補助金でもなく、人の熱量です。地方活性化は「誰かが本気で好きなもの」から始まると思います。

故郷とは

住む場所や学校、会社、趣味や嗜好は、生きていれば変わっていくもの。パートナーが変わることも、場合によっては親が変わることだってあります。でも、ふるさとは変わりません。

ふるさとは誰にでもあり、いつでもあなたを温かく迎え入れてくれます。だからこそ、ふるさとに誇りを持ってほしい。魅力を見つけるのは、他の誰でもないあなたです。

地元とは

「地元のことは地元の人が一番知っている」。この言葉を、私はいつも忘れないようにしています。

全市町村を巡ったと言うと「すごいね」と言われますが、私はそのまちを断片的に見ただけです。本当の魅力を知るには、最低でも1年は住まないとわからないでしょう。

地元の魅力を一番知っているのは、あなたそして、地元を動かせるのも、あなた自身なのです。


自宅と職場の間の降りたことのない駅でちょっと降りてみたり、いつもと違う道で帰ってみる。

そんなところからも地元を再発見できる機会は眠っているかもしれません。

遠出する必要はありません。

【参考文献】

齋藤潤『地域創生のリアル』筑摩書房、2021

藻谷浩介『デフレの正体―経済は「人口の波」で動く』角川書店、2010

木下斉『稼ぐまちが地方を変える』NHK出版、2015

牧野知弘『まちづくり幻想』祥伝社、2019

平田オリザ『下り坂をそろそろと』講談社現代新書、2018

小島慶藏『地方創生でリッチになろう!―成功する8つの心得』中央経済社、2019

高坂晶子『オーバーツーリズム ― 観光に消費されないまちのつくり方(増補改訂版)』学芸出版社、2024(初版2020)

田中俊徳『オーバーツーリズム解決論 ― 日本の現状と改善戦略』ワニブックス+新書、2024


横石知二『そうだ、葉っぱを売ろう!』ソフトバンククリエイティブ、2007

映画『人生、いろどり』(監督:御法川修、2012)

中村学『小さな村のブランド戦略 ごっくん馬路村の奇跡』高知新聞社、2011年。

藤井伸一『地域ブランドのつくりかた』学芸出版社、2016年。

LIFULL HOME'S PRESS編集部『【岩手県紫波町 オガールプロジェクト】この"公民連携モデル"の何がすごいのか?』2015年


内閣府地方創生推進事務局『地方創生白書』内閣府、2023

総務省『関係人口ポータルサイト』総務省、2024

観光庁『持続可能な観光地域づくりに関する報告書』観光庁、2024

一般社団法人日本テレワーク協会『テレワーク白書2023』日本テレワーク協会、2023

コメント


日本1718景とは

「私のまちは何もないよ」

自己紹介でよく聞くセリフです。
大学時代、この言葉に違和感を覚えたことを

きっかけに12年かけて日本を踏破。

すべてのまちに魅力があるはずだし、

すべての人がまちに誇りを持ってほしい。
知らないまちを知ったり訪れるキッカケをつくり、
日本の津々浦々が盛りあがるようにー

そんな願いから、このサイトができました。

 

コンセプトは

1分で読める全市町村観光サイト。

では、みなさま、よい旅を。

 

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