運行予定表は×××…日本屈指で上陸困難な御蔵島と三宅島には何がある?
- うらのりょうた

- 10月11日
- 読了時間: 6分
日本屈指の行きにくい島の1つである御蔵島村の御蔵島。青ヶ島より難易度が高いという声もあります。そして、2000年に大規模な噴火、最大震度6弱の地震を6回観測するなど生命に関わる極めて危険な状況となり、全島民避難を余儀なくされた三宅村の三宅島。今回は兄弟のような2つの島をご紹介します。

三宅島、御蔵島への交通手段はフェリーかヘリのみで、フェリーの場合は東京から三宅島、御蔵島を経由する八丈島行きに乗ります。
外洋に位置するため、潮流と風の影響を受けやすく、フェリーが欠航することもしばしば。
特に、御蔵島は過酷な自然環境に置かれており、港は1カ所しかありません。状況に応じて3つの港を使い分けることができる三宅島とは上陸の難易度が異なります。
島に興味がある人にはXの御蔵島フェリー就航予報というアカウントがとても役立ちます。2日前に御蔵島着東京行きと八丈島行きの就航確率を予報してくれます。御蔵島観光協会の東海汽船運航状況と照らし合わせて確認したところ、90%を超えればかなりの安心材料になりそう。風向きや潮の流れ、波の高さなどから機械学習を用いて数値を弾き出しており、かなりの的中率を誇ります。
では、実際に御蔵島へ向かってみましょう!出港は22時30分。乗船1時間前の21時30分には東京・竹芝港へ向かい、簡単な乗船手続きを済ませて船に乗り込みましょう。
前日は現地海上不良のため欠航。例のサイトのフェリー就航確率は76%だったので、やはり90%を下回れば欠航も覚悟しなければいけません。
三宅島の運航状況は◯でしたが、御蔵島は★。★は出航しますが、海上・港内状況等により接岸できない場合があるという意味です。一抹の不安が漂いますが、今夜のフェリー就航確率は97%。無事に上陸できると信じたい。

今夜の寝床はこちら。2等和室。枕あり。貸毛布は1枚100円。船内レストランは23時30分まで営業。シャワーも完備(1回100円)。Wi-Fiもありますが、通信速度が遅く、ほとんど使い物になりませんでした。データ通信なら微弱の電波が届きますが、出航したらスマホは使えないと考えていた方が良いでしょう。そんな時は本。夜長にピッタリ。

今回持ってきたのは仕事のご縁で知り合った矢樹育子さんの『ウルからジョンへ』。偶然、「花辺島」という架空の島にまつわる旅の話でした。「旅行に書物を携帯するのはわたしの癖だった。未知の人と話したがる旅人ばかりとは限らない」。
と思いきや、消灯は23時30分。ラウンジなどがないので寝るしかありません。今回は10人部屋に結局私1人しか泊まっておらず、実質貸切状態。これはうれしい。
外洋に出るとかなり揺れが強く、夜中は何度か起きてしまうかもしれません。4時30分には館内放送が流れて通常照明に変わります。
三宅島5時、御蔵島6時、八丈島8時55分入港なので、三宅島以降に下船する人はまだしばらく眠れますが、半強制的に起こされてしまいます。一方で、「御蔵島は通常運行となりました」といううれしい知らせも。上陸はほぼ間違いなさそうです。
甲板に出ると立派な三宅島。手前には神津島、奥には御蔵島も見えます。

緑が広がる三宅島は約20年に一度、噴火が発生する火山島。かつては人口規模300人ほどの御蔵島と比べて10倍以上で推移しており、物資や交通などの生活を支えるなど密接な関係でした。
穏やかな日常が一変したのが2000年。火山活動が1983年以来の活発化。大規模な噴火に加えて、最大震度6弱の地震を6回観測。生命に関わる極めて危険な状況となり、9月には3日以内の全島民避難が決まりました。「残りたい」「仕事がない」「見知りぬ土地で孤立しないか」という否定的な声がある一方で、家族や仕事の責任感から島に残っていた人も多く、拘束力の強い行政命令が出たことで気持ちに一区切りついた人も多かったそうです。それでも警察や消防、役場や電力会社の職員およそ600人は島に残りました。危険なため、夜間は港に停泊する船で過ごしたそうです。全島避難指示は2005年2月1日午後3時まで4年5ヶ月に及びました。
そうこうしている間に御蔵島が近づいてきました。半円状の可愛らしい見た目の島です。しかし、間近で見ると断崖絶壁。「どうやって接岸するんだ」と恐怖を覚えることでしょう。上陸困難といわれる理由にも納得するはずです。

御蔵島は黒潮の海上に位置する人口わずか300人ほどの小さな島です。
御蔵島といえばイルカ。イルカの見える丘という観光スポットもあります。運が良ければ陸からでもイルカの群れが見られます。

御蔵島の島民は徒歩10分程度の里の範囲にまとまって生活をしており、島民は、ほとんど顔見知り。商店は2軒と農漁協の購買が1軒あるのみで、支払いは基本的に現金のみです。
気候は温暖ですが、黒潮の影響で海上を風が吹くため、それほど嫌な暑さはありません。雨が多く、風が強いため傘よりもカッパがあると便利です。
特産品は明日葉。こちらは明日葉の冷製スープ。

意外なのが「島民は魚を食べない」ということ。御蔵島ではもちろん魚が獲れますし、村内放送で「魚が獲れました」とアナウンスもありますが、切り身ではないため不便だそう。冷凍するにしても鮮度が落ちてしまうため、食べ慣れた地元の住民は買わないそう。結局、ほぼすべての魚が釣ったままの状態で築地などの市場へ輸送されます。その方が作業も楽で、お金にもなるそうです。外食(ランチ・弁当・惣菜)の拡充、料理講習会(島食材を使用)の実施、地産地消できる野菜・魚の販売などを通じて島内外とのイメージの乖離をなくしていくことが大切だと役場の職員はおっしゃっていました。
ふくまる商店さんのシャーベットもオススメです。
小さな島のため宿の収容数にも限りがあり、日帰りは基本的に禁止となっています。
港には警察が立ち会っているので、不審な動きをしていると「宿は取っていますか」など質問される可能性もあります。
この日は観光協会の人に楯突く観光客も見かけました。「2日前に来島を決めて、大した前調べもせずガイドもお願いせずに日帰りする予定できてしまった。車道を散歩するだけで終わってしまいました。愚かすぎる旅、愚かすぎる人間」と思い出ノートに書き捨てていました。
安く泊まりたいならバンガローがオススメ。お値段は4000円。毎年4〜10月まで宿泊できます。炊事場、トイレ、シャワーは共同です。
暮らしは定期船の入港に左右され、悪天候が続けば食料やその他物資などが不足することもあります。
翌朝、7時10分に運行状況は★から◯に。やったー!
無事に12時35分発で東京へ帰ることができました。
しかし、心臓に悪い旅です。三宅島、御蔵島への旅は予定通り進むか最後までドキドキです。





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